Interview

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン
NOBU TOKYO ロゴ

五大陸にまたがる世界的なレストラングループのオーナーシェフとしてご活躍されている、NOBUこと松久信幸さん。2013年にはラスベガスに「NOBU Hotel」をオープンし、世界各国を飛び回る日々を過ごされています。日本滞在中の貴重なお時間をお借りして、お話をお伺いしました。

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン- 今、海外では和食が大変なブームとなっています。ノブさんはその先駆者でもありますが、現在のブームについてどのように思われますか?

一昨年、日本食が無形文化遺産になりましたね。今年(2015年)はミラノで食の万博があり、世界中の人々が”食”に対して興味を持ってきているというのは、確かに感じます。その中で日本食というのはとても注目されています。カロリーも少ないし、季節感があって、見た目も美しい。日本人の器用さ、仕事が綺麗なところも良い。

けれども、そういった長所は日本人だけが持っているわけではないです。他の国でも綺麗に仕事をする人はいます。「五味」の中の一つの「旨味」も、世界中の料理人の人たちは理解してきています。皆が旨味をベースに料理を作り始めてきた、ということも感じますね。

日本食が世界に浸透してきているというのは、確かに感じています。ですから今が一番大事なときですよね。何でもかんでも日本食だから良い、という訳ではないのでね。「流行り」ができれば、今度はそこに「競争」ができる。競争というのは、僕らにとって常にクオリティを上げていくために非常に大事なものです。

今は社会的に流通がすごく発展していて、極端に言うと南半球のものが翌日には北半球に届くような時代になっている。食材を手に入れることに関しては、お金さえ払えばどんなものでも手に入ります。その中でクオリティを一つ一つ高める、ということをしていかないといけない。せっかく日本食というものが無形文化遺産に登録され、これからますます伸びていく良いチャンスです。それだけ注目されているからこそ、今が一番大事な時期。そういう思いで今、僕は仕事をしています。

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン- フィジーウォーターもプレミムアムウォーターとして、世界各国でセールスを伸ばしています。

僕はもうこの20年位ずっと飲んでますよ。最近では、フィジーウォーターで氷を作って「シェーブアイス」という、いわゆるカキ氷をお店で提供しています。

- 普通のお水で作るのとは違いますか?

そうですね。やはり水道のお水よりは、きめ細かくできますね。僕はさっき言ったように、フィジーウォーターは何十年もずっと飲み続けているので、別のお水に変わると「違うな」って分かるようになります。

「NOBU」のレストランでは、世界の全店舗にフィジーウォーターを入れているんです。だから、僕がフィジーウォーターに対してサポートできることは何かと考えて、お客様に飲んでもらうだけではなく、シェーブアイスにしてみようと。シェーブアイスは結構、海外で人気があるのでね。それならフィジーウォーターで氷を作ってやってみようということで、去年ぐらいからやっています。

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン- 日本でも食べてみたいと思うのですが、日本のお店にもありますか?

日本ではやっていません。日本にはカキ氷用のちゃんとした氷があるんですよ。ただ、ニューヨークとかロンドンとかシェーブアイスを出しているお店では、全てフィジーウォーターで作っています。メニューにも「FIJI Water」と記載してあり、そうするとお客さんも安心してくれるんですよね。

- シェーブアイスは夏だけのメニューなんですか?

カルフォルニアはオールシーズンで、ハワイのお店でも出しています。僕の料理のコンセプトとして、「脇役を主役にしてあげたい」「無駄なく脇役を主役にする」という思いがあります。ですのでフィジーウォーターというお水を主役にするために、やはり形として見えるようにしないといけないと思い、シェーブアイスにしました。

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン- プライベートについてもぜひ教えてください。普段はどんな風に過ごされていますか?

今は基本的に米国に住んでいますが、日本にも必ず月に一回は来ています。郊外に家を作っていて、そこに温泉もあります。毎日何百人ものお客さんと会っていると、自分がリラックスできる時間というのは、正直言って、誰にも会わないときなんです。誰にも会わずに一人で過ごしたり、温泉に入ったりすることが僕にとってのリラクゼーションです。

- お食事はどんな所でされるんですか?

友だちと一緒に寿司屋に行ったり、天ぷらを食べに行ったりします。居酒屋的な所に行ったりもします。常に行くお店というのはありませんが、寿司屋はあちこち行きますね。天ぷらは神楽坂に「天孝」というお店があり、そこにも行きます。

- もうすぐ年越しですが、年末年始はアメリカで過ごされるんでしょうか?

年末は毎年、アスペンで過ごしていましたが、ここ何年かはアスペンではないです。今年の年末はこれからすぐにロスに行きます。マイアミに今度ホテルがオープンしますし、レストランもオープンしているので、そちらにも行きます。それから「Art Basel」というアートショーがあるんですが、その時期が一番忙しいです。

- 世界中でご活躍されていますが、ノブさんが影響を受けた方というのはいらっしゃいますか?

まず、母親です。やはり親の料理で僕は育ってきてますからね。母親が気持ちを込めて作ってくれた料理を食べて大きくなってきたので。二人目は、一番最初に新宿のお店で修行をした時の師匠です。初めての僕の師匠であるその人から、寿司のいろはを教わりました。

そういう人たちから料理に対する様々な姿勢、食材の選び方、使い方を教えてもらいました。料理人生の出発地点では母親と、最初の師匠の影響を受けています。日本で修行した後にペルーに行き、そこで様々な異文化の食べ物に出会いました。人からではないですが、訪れた先の国の食文化からも感銘を受けました。

- 様々な創作料理をご提案されていますが、料理のアイディアはどこから生まれるのでしょうか?

僕の人生、ほぼ料理ですから、今までの経験から生まれます。世界中どこにいても、季節によって様々な食材と出会いますよね。初めて出会う食材があったりすると、「これはこう調理してみたいな」と思い付きます。

今までの経験の中で、その素材に合いそうな調理法が感覚的に身体に染み付いているので、「この食材だったらこれはダメだな」というように一つ一つ消却していき、的を絞ることができます。一つの食材と出会った時にそういうところから始めていき、その積み重ねが経験だと思うんです。

初めて料理を作る人に、そのようにアドバイスしても不可能に近いです。実際にやってみることが大事で、やってみると必ず何かができ上がる。そしてでき上がった時に、「これはこうしたほうがもっと良い」と分かるようになる。常に突き詰めていく努力が大事だと思います。突き詰めていくと、そこには何か必ず自分の作品が生まれてくると、僕はいつも思っています。

スペシャルインタビュー NOBU MATSUHISAさん NOBUレストラン- 最後に、今後のノブさんの展開について教えてください。

僕は一番最初の「MATSUHISA」というお店を87年に開きました。来年1月で29年になります。最初の「NOBU」が94年ですから、もう21年が過ぎ、来年で22年になります。

現在、世界で「NOBU」が32店舗、「MATSUHISA」が来年で8店舗になります。また、今度はホテルを展開するようにもなってきました。けれども、これらは僕が求めてきたものではなく、一つ一つやってきた結果がそういう風になっていると思います。

自分の気持ちの中に、「これをしたい!」と言うのはなく、常に今、今の時点、今生きていることに自分のベストを尽くします。そして自分がベストを尽くすだけではなく、チームに対しても、目標に向かって同じ方向性に進むような良いチーム作りをしてきました。そうすると、次も自然に周りからチャンスをいただくことができます。

「これをやりたい」ではなく、「今現在にベストを尽くす」ことによって、次のものが展開してくれるという感じです。今までの過去二十何年間の中で、大きな目標というものはありませんでした。「今、現時点」を一生懸命生きたいと思ってやってきて、これからもそんな生き方をしていきたいと思っています。

NOBU MATSUHISAさんプロフィール
寿司職人として東京で修業した後、ペルー、アルゼンチン、アラスカでのレストランの経験を経て、1987年にビバリーヒルズに「Matsuhisa」を開店。その後、ミラノやロンドンなど世界展開を加速させて各国で高い評価を受ける。「NOBU London」ではミシュランスターを獲得。

書籍
『お客さんの笑顔が、僕のすべて!』ダイヤモンド社(2014年8月)
『NOBU THE SUSHI BOOK』世界文化社(2013年11月)
『NOBUのすし』世界文化社(2012年10月)
『和のフィンガーフード』柴田書店(2006年9月)他

※インタビュー内容はすべて個人の感想です。